読書
四月の朝に読み返す、須賀敦子の文章
春の光が窓辺に差し込む時間に、何度目かの『ミラノ 霧の風景』を開く。言葉のひとつひとつが、静かに胸に沁みてくる。
本のこと、旅のこと、台所のこと。
朝のカフェで書くような、ささやかな手記。
春の光が窓辺に差し込む時間に、何度目かの『ミラノ 霧の風景』を開く。言葉のひとつひとつが、静かに胸に沁みてくる。
まだ雪の残る木道を、ゆっくりと歩いた。遠くで水芭蕉が揺れている。誰もいない朝の湿原は、世界の始まりのように静かだった。
素材がよければ、調味料はほとんどいらない。春キャベツを丸ごと煮込んだスープは、甘くて、やさしくて、少し切ない味がする。
眠れない夜に『async』を流す。音と音の間にある沈黙が、むしろ雄弁に語りかけてくる。音楽は時に、言葉よりも正確だ。
予定のない日曜の朝。コーヒーを淹れて、窓の外をぼんやり眺める。それだけで十分に満たされる日があることを、ようやく知った。